二日間の恋人② - 人妻の気紛れで自堕落な生活

シマリス君との久々の再会、この続き

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夕食は豪華な船盛に会席でとても美味しかったし、食事をしながらの互いの近況は、道中の会話よりずっと個人的で近しい感じがした。

久しぶりに会ったのにまだキスもしていない。だけど何だか二年前の最初の温泉旅行みたいで嬉しい気もする。あの時も手も握らず、温泉街をお散歩して別々にお風呂に入って、一緒に食事をした。そうゆう焦らし作戦だったらしいけど、今回もソレ？

2年前の初回の温泉デートはこちら

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もうここまで来たらアレコレ頭で考えるのは止めて、束の間のこの時間を楽しもう。思いがけず終わった恋を再び拾ったんだもの、大事に味わおう。

シマリス君は前よりずっと優しくて、私が以前に話した事をよく覚えてた。言ってる事も態度も随分変わったと思うのは、多分私も変わったから。お互い戦わず、今、この瞬間を受け入れようとしてる感覚。

食事を終えてもう一度湯船に浸かり、お部屋に戻る。

シマリス君が灯りを消して、私を抱きしめた。

「会いたかったよ、愛しとるよ」

これがシマリス劇場であることはわかっている。でもじんわりと心に染みた。私も会いたかったし愛してる、そう言いたいけど唇はキスで塞がれ、浴衣の間にシマリス君の手が入って、私は言葉より喘いでしまう。

「変わらんな、良い身体しとる。敏感なのも変わらんなぁ。ホンマ感じやすいな、わかってたやろ？今日俺にメチャメチャに抱かれるって…可愛いな。可愛い可愛い」

お喋りしながら抱くのも変わらないよね、と言いたいのだけれど言葉が出ない。とても丁寧に攻められてすぐに感極まってしまう。あれ私、今までシマリス君にこんなに丁寧に抱かれたっけ？全身にキスしながら優しく愛撫される、その手が前と違う。そうして私の頭をずっと抱えて髪を撫でながら、時々顔を覗き込んでは首筋に耳にキス。長い時間をかけて、私の弱点ばかり突いてくる。

そういえばいつもなら『俺と会えてない時、他の男とやった？』と聞かれるのだけど、まだ一度も訊かれていない。もちろん私の答えは『してないよ』と言う所までお決まりのシマリス劇場なんだけど、シマリス君だって本当は気付いてるよね。

相変わらずの絶倫だけど、僅かな違いも私にはわかる、大事なものを扱うように大切に触れてくれることに気付いてる。そこに優しさと労わりが込められてるのも。

今、私達は与え合ってる、そう感じる。

今までは奪い合って戦ってた。それは刺激的で楽しくてとても興奮するのだけど、だんだん切なくなっちゃった。だからもう会わないと決めたんだ。そして会わない時間にお互い色々な体験があって、そうして今、戦うのは止めたし、寧ろ与え合ってるんだよね。お互いのエネルギーを差し出してブレンドして、それがとても心地良い。

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シマリス君は相変わらずの絶倫ではあったけど、前よりマイルドになってた。例えば彼は射精してもまだ勃ったままで続けて３回射精するのがワンセット（×10回位が一晩位）なんだけど、その射精の回数に拘りが無くなったのか、３回の事もあるし、１回で満足そうに私を胸に抱いてお喋りしだすこともあるし、挿入したまま動きを止めて、私にたくさんキスしたりもする。その愛おしそうな仕草と視線を受けて、嬉しさで私は泣いた。今だけでいい、バイバイしたら私の事なんか思い出さなくてもいい。ただ今この瞬間、彼の中に私しかいない。

前はそうは思えなかった、ずっと他の女を感じてた。彼女達が全員いなくなった訳じゃないだろうけど、今確かにシマリス君は、私だけ見てる。ああ、私はずっとこうして欲しかった。自分の気持ちに気付いてなかった、あの嬉しくて悲しくて切ない気持ちの正体。

私自身も、寂しさを誰かで埋めようと思っちゃいけないとずっと自分に言い聞かせて来たけれど、もうどうしようもない塞がらない抉れた傷を、こうしてゆっくり舐め合って癒し合っても良いんじゃない？私の心が抉られたままシマリス君からのLINEを既読した日、私の心は多量の流血状態で、自分じゃどうにも治せなくて誰かに止血してほしかった。でも誰でもは止血できない、他ならぬシマリス君じゃなきゃダメだった。どうして彼なのか、シマリス君の最近抉れた傷は誰からのものなのか全然わからないけど、きっと会わない間に私達は何らかシンクロしていて、今はお互い必要でこうなったって事に私は随分前から気付いてた。わかってたから、彼の誘いに乗ったんだ。

それは多分、シマリス君もまた（別れた）彼氏と同じで、私が追う立場の恋人だったから。他の男達には追われてる自負がある。愛され大事にされてると思ってる。でも心がつかめない男はどんなに言葉を尽くされても不安で、どれだけ自分の気持ちを大事に握りしめても、気付いたら愛されたくなって追いかける。仮に私が彼を放置して、向こうにも放置されたらそれまでと心を鬼にしても、本当に放置されて音を上げるのはいつも私。そんな自分が惨めだから、期待を削ぎ落して連絡もせず、最後は心を閉ざす。

そう、私は心を閉ざした。そうしてシマリス君を遠ざけた。

会う度にこんなに幸せなのに、どうしていつも苦しくなるんだろうってずっと思ってた。それはバイバイした何日も後、たくさん時間をかけて湧いてくる苦しみ。彼氏とはその苦しみがあることを認めたくなくて、次の約束や楽しいLINEを送ってしまってた。何かが満たされず消化不良だった私の心。それは絶対に私に夢中にならない男への怨嗟、追いかけても振り向かない冷たい父の背中を、どうにか留まらせようと嘘までついた幼い頃の私の傷。

ああ、ここに来てもまだ私は、幼少期の傷を引きずってるのか‥と愕然とするし、やっぱり追いかけちゃう男はどこか父に似てるもんだなぁとも思う。筋金入りのファザコンであることは分かってるけど、こんなに年下の男でもアイデンティティが父に似てれば無関係に惚れちゃうのよね。だけど夫もそうだけど、父に似ている男でも、父を超えて私を愛する人になる事もあった。私はそのゲームを永遠に繰り返してるんだろう。飽きないように攻略できない難しい男ばかり狙って。

そして、彼等の影に他の女性を見ている私のように、彼等もまた、私の影に他の男達を感じるんだろう。相手は自分の鏡、その刹那の瞬間を大事に生きてるつもりで、その背景に勝手に喧嘩ふっかけてる。私が追ういかける男達は、必ず私の浮気性に気付くけど、私に入れこむ男達は全く気付かないのも不思議だった。シマリス君と私は、似てるからこそ同じ匂いを感じて怯え、どうにか自分のテリトリーに巻き取ろうとする。でもそれはゲームであり愛じゃない。

私は一度シマリス君からのこのゲームを降りて、彼氏からのゲームにも負けて、そうして駆け引きが何もなくなってやっと自分と向き合えた。色んな認めたくない感情を知ってしまって、それを曝け出して慰めてもらってる。それはある意味とても清々しくて快適で嬉して、初めて私はシマリス君の腕の中で安心して眠った。

シマリス君はすごく硬派でかっこつけてて、絶対に私に弱みを見せない人だったのに、この日は『夜中のお風呂が怖い』と言い出したり『先に眠ったら寂しいやん』なんて可愛い事を言ったりした。朝が弱くて朝食も食べられないことが多かった人が、自分でアラームをセットして一緒に朝食も食べて、少しだけ私に甘えてアレコレ頼むのも可愛い。

絶対に仕事の弱音も吐かないし、会話と言えば社会情勢や経済の話が中心だけど、少しだけ自分自身の事も織り交ぜて吐露するようになってて、お互いに縄張りを共有してる気がして嬉しかった。そうそう、今まで絶対にさせなかった彼の車の運転も、眠気に耐えられず帰りは少し私に委ねた。私にとっては奇跡的な出来事で、男を甘やかせるのが好きだからめっちゃ嬉しかった。それは多分、私自身も変化してるからなんだろうな。柔軟になれてる気がしてる。

二日間全力で愛して楽しんで、今は気分爽快。今までみたいに、楽しかったけどモヤモヤ…って気持ちはまるで無くて、また会えたら良いなぁって思ってる。

家に着いてお礼のLINEをしたら、いつもなら『また会おうね』って返信のシマリス君から