先生の自宅訪問、遂にこの日が来たという感じ。
年上の先生には口説かれたくて、口説かれ待ちだったけど先生の真意が全然わかんないから、今日こそ詰めて結論出そうと思ってた。これで尻込みするようなら捨て案件。女が男の自宅に行くって、そうゆう意味だよね?
だけど今日はキスまで、私なりにストーリーを決めていた。いざ参戦!
先生とはこんな感じで牛歩だった↓
●●駅に着きました
先生は、都会だけど緑豊かな高級住宅街に住んでいる。最寄り駅が4個あってどこからでもアクセスが良い。
僕は△△駅を降りたところ。そのまま真っ直ぐ来てください。坂を登った交差点で待ってます
お互い仕事の帰り、夕方の少し早い時間、すごくタイミング良い。
坂を登る途中、先生の姿が見える。髪はやや薄いけど筋肉質の身体はとても若く見える。笑顔が可愛い、何となく西洋人っぽい顔立ちしてるんだなぁって思う。色白だし。
手を振って駆け寄る。私、走り方がすごく変なんだけど、それが可愛いってよく言われるからわざと小走りする。私の振る舞いは自然に見えると思うけど、実は結構あざとい。
「いらっしゃい、そこのマンションだから」
と指したのは高級タワマン。うわぁ、近くで見るとすごい迫力。
大きなエントランスを抜けて中庭を通って、やっとマンションの中に入り、エレベーターで高層階に向かう。眺望がとても良いと前に聞いてたけど、これだけ上がれば確かに綺麗なんだろうなぁ。通された部屋は、白くてモダンでとても広い。リビングの窓一面に東京の街並みと緑。ビルと東京タワーが近い…アーバンって感じ。
高音質の自慢のオーディオと大きなテレビ。後は男の一人暮らしらしく、雑多な感じではあるけど概ね綺麗。窓を開けてベランダに出たら風がとても心地良い。私はこのベランダからの眺めがとても気に入った。街を見下ろしてるだけで何時間でも過ごせそう。
「じゃあ、風にあたりながらシャンパンでも飲もう」
先生がシャンパンを抜いてグラスに注いで持ってきてくれて乾杯。素敵な時間、なんだかワクワクする。この人は私をこれからどうしようと思ってるのかな。
一杯飲み切ってから、一緒に食事の支度をする。持参したエプロンを付けて一緒にキッチンに立つ。メニューは予め先生が決めていて、食材も準備されていた。私は言われた通りに野菜を刻んだり、スープを煮たり。よく言われるけど、生活感が全く無いらしい私は、料理をするところが全然想像できないらしい。お料理はかなり好きだし、自分で言うけど段取りも手際も良いと思う。先生もちょっと驚いて褒めてくれた。先生も普段から自炊していて、それなりに料理も上手。
すぐにつまめるようにと、私も手作りの惣菜をお土産代わりに持参してた。金平牛蒡に出汁巻きタマゴ、ミートボール、ブロッコリーのサラダ、どれもホームパーティで人気のメニュー。ちょっと家庭的で素朴な感じのほうが男の受けが良いことは分かってる。
1時間かからずに料理も完成して、テーブルに並べて今度は日本酒で乾杯。アレコレ話しながら食事をする。話題は最近読んだ本や、仏教や哲学の話で面白いし楽しい。
少しずつ日が暮れて夕焼けになって、窓からの景色がとてもとても綺麗だから、思わず私はまたベランダに出た。
「先生あれ見て、雲が赤く染まってて、その上に月が出てる」
「すごい神秘的、写真撮ろう」
都会のビルの上の雲、少しずつ赤みを帯びてとても綺麗。二人でスマホで撮影しながら見せ合ったりして、再び私はその景色に見とれてた。
不意に後ろから抱かれる。そっと首筋に唇が当たる感触。
そう来たか…もちろん嬉しい。全然彼の好意を意思表示されなくてヤキモキしてた私は、今日は自分から話を振る気満々だったけど、ちゃんと仕掛けて来てくれた。
「ねぇ先生…お話があります」
「なに?」
「私、人の妻で…」
「知ってる」
「夫には返しきれない恩があって、離婚はしないと決めてるの」
「うん、前にも言ってたね」
そのまま背中を抱かれたまま、夕日を眺めながら話す。
「先生は魅力的だと思ってるけれど、まだ好きかどうかわからない」
「うん」
「先生はお付き合いしてる人はいないの?」
「いないよ」
「でも独身だし」
「僕は結婚する気はもう無いよ」
「でも私は夫と仲が悪いわけじゃない」
「その時々を大事にすればいいんじゃない?老子の教えのように」
「それだと先生は他にもいろいろ手を出しそう」
「そんなことはない、でもキミの自由は奪いたくない」
「私が離婚しないことで、過去にダメになった恋愛があったから」
「そんなことは望まない、お互い会ってる時間だけを大事にすればいいよ」
「それだと先生が野放しで不安、独身なんだし」
「俺は心配ないよ、この二年位は誰とも何もない」
抱きしめられる力が強くなる。わかってる、先生はそんなに器用じゃない。
だけど最初が肝心、私は更に自分の希望を伝え続ける。
「先生には私の事、どうゆうティーアップされてるのかわからないんだけど…夫とはかなり歳の差で、数年前に私は夫に自由にしていいって言われたの。だからそれなりに遊ぶ男の子はいるのよ。でもね、もしも先生と私がお付き合いすることになるなら、そこはちゃんとしたい。だから…少し時間をください」
「イヤな事はしない、じゅりちゃんの気持ちが固まるまで待つよ」
「でもこんな話、レストランでは出来ないし、先生は私の事どうおもってるかわからなかったし…」
と、不意に肩を掴まれ向き合ってキス。
最初は軽く、そして深く。唇は柔らかく、キスは滑らかで上手。ヤバい、今日はこの先には進まないと決めてるのに。
「好きだから会いたかった」
「この前そう言ってくれたら、今日までにきちんとしてから、ココに来たのに」
「ごめん、俺上手く言葉に出来なくて。でも誰でも良い訳じゃない」
「それって遊び人の常套句」
「そうゆうことじゃないよ、なかなか心は動かないもんだよ」
わかってる、私は先生を責めてるふりして自分を守ってる。他の男と別れる気なんかサラサラないけど、今この瞬間はこの男を狩りたい。そのためなら他の男を捨てるフリもする。私はそうゆう卑怯な女なのよ。嫌いじゃないけど、自分のそうゆうところ。
すっかり夕焼けは夜景に変わってた。
少し肌寒くなって部屋に戻って、また少しつまみながら飲んで、一緒に後片付けをして。こうゆうのが全然嫌じゃない。お互いが邪魔に感じない。なんだか不思議、夫とは最初から、同じキッチンに立ってるだけでお互いイライラするのに。
その後はお茶を入れて、ソファに座って音楽を聴いたり、おしゃべりしたりした。時々キスをする、手を繋ぐ、私のうなじを柔らかく噛まれる。そのまま強引に押し倒されてしまいたい気持ちと、今日はここまででお預けの気持ちが交差する。でも今日はダメダメ。私の格をもうひとつ上げるためには、今日はここまで。
「先生、今度泊りに来ても良いですか?」
「もちろん」
「泊る時、私メイク落として別人の顔だったらどうするの?」
「女性はいくつもの顔を持ってるんだから、その一つを見せてもらうだけだよ」
「またここで、夜景を見ながら食事をしたい」
「いいよ」
「朝まで一緒に眠るんですよ」
「いいよ」
「このまま先生を好きになってもいい?」
「いいよ」
「だとしたら、これが最後の恋にしたい」
「…俺も。でもじゅりんちゃんは、将来老人ホームでもモテるだろうなぁ」
そう言いながらハグしてキスして、なんだか涙が出た。ここぞとばかりのタイミングで流せる涙、私はもしかしたら女優になるべきだったかもしれないな。
でも。
きっと最後の恋を探してるのは本音。たくさんの嘘をつく私の、見せない心の奥の本音。
駅まで送ってもらう途中、そっと手を繋いでみた。力強く握り返される。地下鉄の出入り口で軽くハグしてバイバイ。今まで全然私の事を好きな素振りも見せなかった癖に、手繋ぎもハグもできるんじゃん。
帰りの電車で先生からLINE、自分の予定をお知らせしてくれてて、空いてる日ならお泊り大丈夫ってことみたい。絶対すぐにまた私に会いたくなってるハズ。だって私も会いたいもん。
始まる蜜月、とてもとても嬉しい幸せな瞬間。これからどうかるのな、楽しみ。
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