恋なのかもしれないと思ってる人と再び会う約束をすると、やっぱりときめく。ずっと出会いたいと思ってた、年上で地頭が良い男。
デートは午後から上野で。
行きたかった美術館に一緒に行く。
人気の美術館だけど、ちょうど待ち時間も無し。
でも中はすごい人でギュウギュウ。
こうゆう時、さり気なくエスコートしてくれたり、手を繋いでほしいんだけど、オジサマは勝手に一人で鑑賞してる様子。
まぁいいけどね。私も勝手に鑑賞するし。
でもあまりにも人が多くて、人酔いしちゃった。
ちょっと巻きで鑑賞して、出口へ。
オジサマとはぐれてしまったので、LINE。
『はぐれちゃいましたね。お先に出てます』
『はーい』
外は木漏れ日が綺麗だけど寒い。
こうゆう時、早めに出てきてほしいけど、マイペースなんだろうなぁ。
年上なだけに期待が大きすぎるのかな、私の。
20分位後に出てきて、手を振るオジサマ。
無邪気な笑顔は可愛い。
その後、公園の大道芸人のパフォーマンスを見たり、アメ横で年末のお買い物を見たり、お店の脇で牡蠣を食べたりしてから、一杯行きましょうってことに。
上野で有名な居酒屋さん。まぁだいたい上野を知ってる人ならわかるお店(笑)
オジサマの希望でそこへ。
色々話す。
仕事のことやスピリチュアルのこと、今日の画家の話、昨日一緒だった友達のことや、最近活動してることなどなど。
博識で話題も多く、興味や趣味も似てる。
煙草は吸わない。お酒は程々。
見た目も悪くない。
悪くないけど・・・
なんか違う。
なんだろう、ときめかない。
この男に抱かれたいとは思えない。
じっと唇を見つめてみる。
この唇にキスしたいかな。
いや・・・無いな。
無いから、とりあえずめっちゃ飲む。
私は酒が好きだしすごい飲むけど、好きな男の前では控え目にする。
でも無いから、もう気にしない。
完全に無いと思ったのは、お会計。
「あたし、細かいの無いから、ここはお支払いします」
「え、そう?ありがとう」
え、そう?ありがとう…え、そう?ありがとう…え、そう?ありがとう…
暫く頭の中でリフレイン。
何が起きてるのか一瞬わからなかった。
いやいや、そこ「いいよ俺、払うから」じゃないの??
私は別に男に奢られたいわけじゃない。
でも初めてのデートでは、ちょっとカッコつけてほしい。
そうしたら「じゃあ次は私が」って感じで、気持ちよく二軒目に行けるのに。
なんか悔しいから、結局二軒目も行くことに。
だってこのままじゃ、ただ私が奢っただけじゃん。
年上なのに。年上なのに。年上なのに!(期待が大きすぎたわけではないと思う)
気持ち萎え気味で、二軒目。
あと1時間ほどで閉店するという居酒屋さん。ちょうどいいわ、1時間だけ付き合っておしまい。
気持ちは全く恋愛モードにならないけど、さりげなく尋ねてみる。
「あの、今まで奥様以外に彼女はいなかったんですか」
「いたこともあるよ」
「どれくらい付き合ったの?」
「一年位かなぁ・・・」
そうなんだ、ただのワンナイトとかじゃなくて、ちゃんと不倫彼女がいたこともあるんだね。
「なんで別れたの?バレたとか」
実はこれが一番聞きたい。一度でもバレたことがある男とは付き合わない。
そうゆう男はまたバレるから。
「いや、なんでだろう。なんとなく」
「なんとなく?」
「そう、なんか飽きるって言うかさ。中毒みたいじゃない?またすぐ見つかるみたいな気持ちになったんだよね。その頃って既婚者サークルとか何度か行ってたし」
ふーん…
なんかやっぱりこの人ダメだわ。
予定通りにお店が閉店になってお開き。
途中まで同じ電車で帰る。
不意に手を繋がれた。
とりあえず黙っとく。
一応酔ったふりして、そっとオジサマの肩に私の頭を乗せてみる。
背の高い男はこうゆうことできて良いよね…など思うけど、もうこの男は無い。
・・・
この日飲んでお酒(私だけの飲酒量)
●レモンサワー(1杯)
●日本酒(熱燗2合)
●黒ホッピー(中身おかわり)
●泡盛(カラカラをほぼ一人で全部)
●生ビール(2杯)
・・・
オジサマは途中、ウーロン茶飲んでた。
これだけ豪快に女が飲んだらわかると思うんだけど、最後は手繋ぎだったからなぁ。微妙。
でも。
ふたりきりで会うことは、もう無いと思う。
恋の始まりは、そのまま終わった。
年上彼氏、欲しいのに。
・・・