人妻の気紛れで自堕落な生活

人妻の夜遊びとか不倫とか時々仕事とか

お別れに向けて

夏休みが終わる頃だったと思う。突然宮迫クンが

 

「俺、転勤があるかもしれない」

 

と言い出した。

確か春にも言ってたし、昨秋も言われた気もする。でも私は、若い頃から地方を転々とした宮迫クンが関東に戻って来たんだから、あとは関東で出世していくだけだと思い込んでてあまり真剣に話を聴いてなかった。でも宮迫クンの会社は、会社的事情により出世すうとポストが無いから地方に出されると言う、よくわからないことになってるらしい。更に関東でかなり長く在籍してるので、異動の話もかなり可能性が上がってるみたい。

 

「秋に異動なら、関東内で収めてくれる話になってるんだけど、来年の春ならどこに行くのかわからない。海外って可能性もあるんだよね」

 

待ち合わせたカフェで改まってそう言われたので、これマジなヤツだなぁって思いながらも、私は何て返事をしていいのかわからなかった。

転勤になったらお別れなのかな、それとも場所に依るのかな。宮迫クンはどうしたいんだろう、そもそも私はどうしたい?一辺に色んなことが駆け巡る。

「そうなんだ…」

 

気の利いたセリフひとつも出なくて、なんだか夢を見ているみたいな気分で。それからはもう転勤の話題も出ることなく、いつも通りにデート。

 

月が替わって宮迫クンから

 

転勤の辞令は無かったよ、とりあえずご報告

 

とLINEが届いた。私は

 

あまり遠くに行かないでね

 

と返信。

自分で行先を選べるわけじゃないから、遠くに行かないでと言った所でどうにもならない。だけど転勤に負けたくはない。私達はまだ別れるべきじゃない、そんな気持ち。

それから私は、いつか来る(早ければ来春の)転勤に向けて、今まで以上に全力で宮迫クンを幸せにしようと心に誓い、彼に対してかっこつけるのを止めた。今まではデートの約束も宮迫クンが言い出すのを待ってたし、私から会いたいと言うこともなかったけれど、素直に会いたいと告げるようにして、積極的にデートの日にちを提案した。宮迫クンも同じように

 

すぐに会いたくなるね

 

と言いながら、可能な限り私に会おうとしてくれてる。私が心を開いただけ宮迫クンの心も開くのがわかる。私達は割と意地っ張りで、どっちが好き負けしてるか競ってる所があったけど、もうそんなことはどうでもよくなって身体も心も繋げようと必死になってる。いつかのお別れに向けて、精一杯愛し愛されようとしている。

 

だけど、そもそも誰とでも、いつお別れが来てもおかしくはない関係。もうすぐ出会って2年が過ぎる、この年月の積み重ねこそが奇跡で、今までだって全力で愛してきたとは思う。これって生きてる事と同じだね、今までも全力で生きてきたけど、余命がわかるとより一層詰め込みたくなると言うか。

そして、その余命を全うできるかどうかも誰もわからない。別の原因で命を奪われることもありうる。不倫だって、転勤を待たずに終わるかもしれない。例えば奥さんにバレるとか、誰かに見られて社会的制裁を受けるとか、どっちかが病気や事故に遭うとか、ライフスタイルが変わって時間が無くなるとか。

 

そんなこと考えてたら、本当に今この瞬間を生きるしかないんだなぁ・・なんて改めて思う。不倫から人生の哲学チックな事を言ったとて説得力もないけど。大人になるって事は、そうゆう永遠じゃないことを知っていく作業なのかもしれない。頭では誰でも永遠が無いと分かってはいても、実感として無いままに暮らしてる日常を自覚して生き始める事。

いや、宮迫クンは最初から分かっていたのかもしれない。何度も転勤した経験があるからこそ、最初から私との距離感を保とうとしてる部分はあった。私の事をあまり詮索せず、縛る事も疑う事もしない代わりに、一緒にいられる時間をすごく大事に扱ってくれてた。自分の大切なモノ、好きなモノや事を教えてくれて、一緒に味わい体験した。
それなのに、私はどこかで彼は私を‘‘都合の良い女‘‘と思ってるだろうと想像してた。正確にはそれは宮迫クンだけじゃなく、男全般に私が勝手に思ってる事。私はどこか心の底では男を恨んでる。愛憎、まさに好きだからこそ憎い。私が多頭飼いを続けるのは、恐らく男への憎しみも含まれてるのだろうとはボンヤリ思ってる。

 

もちろん愛してる。

だから、いつかのお別れに向けて全力で。

夫から放牧されて6年目?私はやっと、誰と出会ってもその瞬間から別れに向かってるこの不倫という恋愛を、言葉じゃなく体験として味わってる。ずっとわかってたつもりだったしそう言ってたけれど、実際に突然お別れした元彼とのことから宮迫クンの転勤疑惑まで、その言葉がどれだけ薄い理解だったのかを、やっと受け止め始めてる。

だからこそ全力で。今までより一層全力で愛そう。

そしていつか、おばあちゃんになって再会したい。その時は良い思い出として笑えるような不倫をしつづけよう。

 

・・・

 

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