シブイちゃんとの二度目のデート、この続き
お互いの不倫歴を明かして、どんな付き合い方が希望とか、お休みの取り方とか、デートの頻度とかを話し合う。何度も不倫して分かったことだけど、こうゆう詳細を最初に決めておかないと、お互いのペースが違うと後々揉めるか心が折れる。
「私はデートがしたいなぁ、ドライブとか、お買い物に行くとか」
「エッチは?」
「直球だなぁ。そりゃしますけど…」
「俺、どこか行きたい。この前じゅりちゃん、温泉に行った写真送ってくれたでしょ。すげぇ羨ましくて!俺と仲良くなったら一緒にお泊りもして。もちろん抱きたい」
ちょいちょい本音を挟んでくる。でも今日は抱かれない予定。
それにまだ、付き合うとか好きとか、そうゆう話になってない。私は何故か細かいところを気にする。ちゃんと『お付き合いしましょう』ってお互いに言いたいし、好きって言い合いたい。
「じゅりちゃんの事は好き」
何の前触れもなくそう言い出す。私の心の呟き、聞こえるのかなと思う程に絶妙なタイミングで驚く。
「え、ホント?」
咄嗟に聞き返すことしかできなかった。ちょっと悔しい。
「ここで嘘ついてどうするの。ホントだよ、好きだよ」
「嬉しい。私も、10のうち7位はシブイちゃんの事が好きかなぁ」
「なんかその数字、微妙」
10のうち7好き、は確かにそうなんだけど、だいたい付き合う前、まだキスもセックスもする前の男には必ず告げる。これをどう取るかで相手の性格も良く分かる。
彼氏は『そか』と一言。でもその後にいきなりキスされた。シマリス君は『え、そんなに高い数字!』とめちゃ喜んでいた。そしてその日の帰りの車内でキスされた。寿クンは無言だったな(笑)何か言われた記憶はない。ついでに最初のキスも私からだし。
「残りの3は、熱しにくいタイプなので少し時間がかかるかも。でも冷めにくいよ」
「そっかぁ、7かぁ。大丈夫だよ。少しずつね」
「メンドクサイ女ですみません」
「メンドクサク無いよ。熱しやすく冷めやすいよりいいよね」
そう言って笑うシブイちゃん。ああ、この笑顔は好きかも。私も笑顔を褒められるタイプではあるんだけど、この人もすごく人が良さそうに笑う。真顔とのギャップがまた良い。
シブイちゃんの過去の不倫は、最初は元同級生の彼女、次が子供の部活関係の保護者、飲み会で出会った女性…と様々。出会い系は業者が多くて辟易するらしい。サクラもいるし、小遣い稼ぎの売春もいるから、私みたいな普通に出会いを探す女性の中で、自分の好みと出会える確率は相当低いとか。そういえば寿クンも、サイトで出会った女性と普通にお茶するつもりで行ったら、いきなり金額交渉されてドン引きした話をしてた。
特にコロナ禍では本当に生活に困窮してる人もいるわけで…なんか切ないね。色々と考えてしまう。
閉店の時間が迫り、会計をして外に出る。
私はだいたいデートでは、一応ポーズでお財布を出して見せるのだけど、前回も今回も全くお金を出す素振りもしなかった。シブイちゃんみたいなタイプは、女性に使った時間やお金を、後々愛情で回収したくなるハズだと読んでいる。だとしたら少しでも私に時間とお金をかけて欲しい。そうして私に投資した分、愛情を回収しようと必死になってほしい。男は釣った魚にエサをやらないのではなく、簡単に釣れた後に飽きるんだ。それは釣れた魚にも原因があって、魚はそのことに気付かない。
私は簡単に釣れそうで釣れないムードが好き。そして釣られた後も他の釣り人の針を飲み込もうとする。いや、本当は沢山の釣り針を飲み込んで、美味しく頂いて消化してしまう。だれが魚は針を飲んだら釣れると決めたのだろう?針を食べちゃう魚だってここにいるのだ。だけど、今はアナタに釣られる健気な魚を演じてる。針を消化する強靭な胃袋を持ってる事は内緒にしたままで。
魚と釣り人、本当に釣ってるのはどっちだろう。
お店を出て駐車場へ向かう。お互い車で隣同士に停めた。私の車を見てアレコレ尋ねてくるシブイちゃん。キスするならこのタイミング、私はそっとマスクを外してから、バッグに手を入れてゴソゴソと探し物をしてるフリ。もう早くして、話が終わったら車に乗らなきゃならないじゃない。そしたらキスしない本当の健全解散になっちゃう。
「でさ、俺今日めっちゃ汗臭いから、じゅりちゃんギュって抱きしめられないんだけどキスはしたい」
また突然の直球、マスクを外して私の両肩に手を置き、唇を近づける。
軽く唇が触れ合って、一度離したけどもう一度。今度は下唇を軽く、上下の唇で挟まれる。そのまま軽く舌を絡ませて、また唇が触れ合って離れる。
唇は硬くもなく柔らかくもなく、もうちょっとキスしていたいかなぁって思う感じ。とろける感じではないけど、もう少し味わいたいような。キスは70点かな、一応合格ライン。
「ねぇ今日のセーターも、タイトスカートもめっちゃ色っぽい。すごく抱きたい。今度抱かせて?」
「もう、気が早い」
「あはは、そうだよね。でも抱きたい。いつか抱きたい。だけど抱けなくても、すぐまた会いたい。じゅりちゃんが好きだから」
「…うん、じゃあ来週?再来週かな。予定を確認するね」
「明日でも良いよ、3分でもいい」
「またそうゆうこと…」
そうゆう情熱、嫌いじゃない。
もっと私を欲して、もっと私で欲情して。男の欲はそのまま恋になって情熱になって、真っすぐ私に向かって来る。私はその熱を感じたい。この熱は一人の男に一度しか味わえないから、だから私は恋の始まりが好き。
そして本当にデートの翌々日、シブイちゃんはたった3分、私に会いに来た。
たまたま帰り道だからとか、偶然私の仕事終わりと時間が近いからとか、色んな言い訳しながら私のその日の仕事の現場近くまで来て、私の顔を見ながら、私の頬に手を当ててて一言、
「この笑顔が好き」
そう言って、手をぶんぶん振りながら帰って行った。
なにこれドラマみたい…
迂闊にもキュンとしてしまった♡私達、いい歳のオッサンとオバサンなんだけど。でもいい歳同士だから出来るのかも?プラトニックと欲情の狭間で、恋が育つ時間。若い頃は情熱だけですぐ抱き合えたけど、今はその過程を楽しんでるような。
そして帰宅後、今度はLINEで怒涛の攻撃!
じゅりちゃんに会いたい!
じゅりちゃんに会いたい♡
さっき顔見たけどまた会いたいよ。本気で会いたいよ。笑った顔が、すごく好きだよ♡
同じような事を寿クンに言われると重いのに、シブイちゃんが言うと可愛いと感じてしまうのは何故だろう?キャラ勝ち?
そうだね、私も逢いたいな
私の降伏かもしれない。もっと焦らしたいのに。
満月デートなのに月の話は全く出ず(笑)二時間ご飯食べて話して、無事に初💋70点かな。
— じゅりん (@3venIS1RCaT3IQu) 2021年5月26日
戦に選んだニットもタイトスカートも、思惑通りに食いついてた😁あとは試乗次第だけど、もう一回お預けで焦らす計画。だってシブイちゃんはモテそうだから"釣れない魚"の演出マスト。でも私が我慢できるかしら..
でも圧がすごいから逃げ出すという可能性もある。
自分の気持ちと行動は、いつも読めない・・・
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