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シマリス君と、温泉デート。
前回のデートで『俺は温泉にいるのが一番幸せ』『一番好きな人としか温泉に来ない』と言われたので、私もこのデートは光栄なことだと思うことにした。
それまでは、嬉しいけど戸惑いもずーっとあったのが本音。12歳も年上の私と二人で温泉宿にチェックインするなんて、仲居さんに二人の姿を見られて、彼は恥ずかしくないんだろうか、などいつも同じことを考えてた。
でも、思えばいつもシマリス君は、誇らしい笑顔で私に手を振る。
例えばチェックインを済ませてくれた後に、少し離れたロビーで座ってる私に向かってだったり、お土産売り場でお互い好きなものを見ていて、はぐれてしまった時だったり。
彼が気にしていないことはわかっているのだけど、普段自信満々の私も、やっぱりシマリス君の前では自分を見失いがち。
前回の温泉デート↓
待ち合わせ場所に向かう電車に乗る直前で、待ち合わせ場所変更の連絡。
いつもは私の家近くまで迎えに来てくれるから、忙しいんだろうとは想像していた。
久しぶりの再会だけど、車に乗り込んだら当たり前のようにスマホを手渡されて
「悪いけど、このメール、5件下まで上から読み上げてくれない?」
「あ、ちょっとそれ、今から言う通りに返事書いてくれる?」
どうも3つ位の大きな案件でバタバタしてるみたい。
前回会った時は電話も鳴らず、シマリス君も割と元気無さそうに見えてたから、仕事が上手く行っててよかったなぁって思う。私もそうだけど(私は2度起業している)起業した初期段階ってゼロよりマイナスの事態が起きやすい。それは神様からのトラップなんじゃないかと思うけど、サラリーマンから転身すると、いきなりの洗礼に打ちのめされた気分になるものだ。どうやらそこは突破したのね…と、嬉々としてお仕事の手伝いをする。
ひと段落して、お喋りしながらドライブを楽しんでいたら、今度は電話。
イヤフォンから音が漏れまくって話は筒抜け。
「だから、俺はアナタと違って月末動いたんやで、わかっとる?それで話纏まらないってアナタ俺に一言謝罪のないん?おかしいやろそれ」
めっちゃ怒ってる。普段仕事は標準語で喋ってるのに、思いっきり素。どうもお相手が謝れば済む話なんだけど謝ってくれなくて、他の案件もやるかどうか…みたいな駆け引き?通話は結構長くて、宿に着いても終わらない。車を停めてまだ話してる。
私は気まずいから、先にホテルのロビーに入ってた。20分くらい待ったかなぁ。
ホテルはオーシャンビューで素敵な所だった。コロナじゃなきゃ連日賑わってたんだろうなぁ。
シマリス君のすごいと思う所は、仕事でやりあった電話をしても、その後まるで何事もなかったように笑顔になること。男の人って仏頂面したままになりがちだと思うけど、そうゆうとこ偉いなぁって思う。
通話が終わって車から降りてきたシマリス君は、もう笑顔。
フロントで、駐車場からなかなか来なかったお詫びを言いながらチェックインの手続き。もう大丈夫っぽい。あまり愚痴も零さず、自分の事情も話さない人なんだよね。そうゆう男らしさは好きなんだけど。
案内されたお部屋は、オーシャンビューで和室とツインのベッドルームがある広いお部屋。今日は他に宿泊客がいないらしく、お部屋をアップグレードしてくれたらしい。
さすが緊急事態宣言中💦でもこんな調子では、多くの宿が倒産しちゃうんだろうなぁ…
「見てみて、窓から海が見えるよ」
シマリス君にそう言われて部屋の奥まで行くと、本当に全面青い海。フロントロビーからも海は見えたけど、階層が上がった分、海の奥まで見渡せる。
「わぁ、綺麗。素敵なとこだね」
ふいに後ろから抱きしめられる。
えっ…?
シマリス君は、普段服を着たままでバックハグするような人ではない。
いつも温泉宿に来ても硬派で、まず一緒にお茶を飲み、近くを散歩したりお土産コーナーを探索したりしてお風呂に入り、晩御飯を食べて、その後少し仕事して(私は二度目のお風呂)その後やっと抱き合う。その間甘えて来たり手を繋いだりしないし、もちろんハグなんかしたこともない。
一度そのまま離れて、シマリス君が自分の荷物を解いて浴衣に着替えてる間に私もコートをかけてたら、またバッグハグされた。
「シマリス君、どうしたの…」
「こうしたいの」
暫くされるがままになっていたところを、くるりと向きを変えられてキス。
左の頬をシマリス君の右手が覆う。少し冷たい。
そのままその手で耳、首筋、背中…私のセーターの中に手が入る。
これは、もしやこのまま始まるやつ?
私は内心焦ってた。
シマリス君とは温泉浸かって浴衣に着替えてからセックスすると思ってたから、セーターの下は思い切りヒートテックシャツww下半身もタイツの下はヒートテックのショートパンツ。しかも腹巻がついてるやつだよ!これダサすぎて見せたくないんだけど!!
「あ、ダメお風呂入ってから」
「ええやん」
「今まで一度もないじゃん、シャワーも浴びずに」
「じゃあ、今日が初めてやな」
そのまま押し倒される。
セーターはヒートテックごと上に捲し上げられ、あっけなくブラのホックを外された。
まだヒートテックシャツは良い。バレエネックで襟がレースの可愛いやつだから、なんとなく許される気がする。
だがしかし、腹巻付きのショートパンツは、どうしても見せたくない‥‥!!!
「あ、じゃあ自分で脱ぐから」
「なんで」
「スカートが皺になっちゃう」
「ほな早く脱ぎなさい。俺が見とる前で」
ホナハヤクヌギナサイ オレガミトルマエデ
いつもの優しい語り口調のシマリス君とは違って、ちょっと語尾が強めの大きな声でそう言われた。そんなこと言われたの初めてだし、穏やかだけど笑ってない目で真っ直ぐ見つめられて、私は何というか、催眠術にでもかかったらこんな気分なんだろうかと想像していた。
冷静な自分が内側にいて、彼の刺激に反応してる外側の自分を見ているような。
そして外側の自分は抗えない。
シマリス君の目の前で、セーターとヒートテックシャツを脱ぎ、タイツ(と一緒にヒートテックショートパンツも)を脱ぐ。スカートのホックを外して、ジッパーを降ろす。
「どこまで脱げばいいのかな」
「全部や」
私は本来ドSであり、その性分を隠してはいるけど時々漏れ出てしまうことはある。
だからこうして男に命令されるのは、普段の私なら絶対に許せない。
『お前が脱げよ!』
普段の私なら絶対そういうハズなんだけど、今は催眠術にかけられたみたいに言いなり。
自分でショーツに手をかけた辺りで、シマリス君に押し倒された。
ここからが長い夜。
(続く)
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