思春期の頃から、太宰治に憧れてた。
私には無い、自分の内面への拘りとコンプレックスと華やかさ。
だけど一番憧れたのは、太宰と一緒に旅立とうとした女性達。
彼女達が、彼にどれだけ本気で惚れられていたのかはわからない。
だけど私にはそんなことはどうでも良くて、一緒に死んでもいいと思えるような男と出会った奇跡が、その出会いが、ただ麗しく儚げで羨ましかった。
私には、夢見心地な希死念慮が、うっすらと纏わりついているのかもしれない。
・・・・・
シマリス君と3度目の温泉デート。
この続き
殺してほしいと思うセックスは、今までしたことがない。
何故そう思うのか、自分でもわからない。
だけどそれは、悲壮的ではなく甘美な魅力で、いつか本当に自分が言い出すんじゃないかと密かに自分を恐れている。
何度も何度も抱き合う。
「ホンマにエロい。次に俺に会うまで耐えられるの?この身体で」
「また会って、、くれるの?、、お願い、、そうして」
「お前、俺にハマっとるやんか、ええで、俺もやで」
何故私はお願いしてしまうんだろう。
他にも私を抱く男はいるのに。
あなたじゃなくても私は快楽を得られる。でもそれは強がりなんだろうか。
相変わらずセックスは私史上最高なのだけど、どうしてかシマリス君と一緒だと上手く眠れない。まるで森の中にいるような不安。
キャンプで森の中にいると、私はとても落ち着かない。
何故海辺は安心して眠れるのに、森は安心できないのかわからないけど。
そう、安心できないのだ。
この人は、いつでもわたしを安心させない。ザワザワする。
前よりずっと腹を割って話してくれてると思うし、人前でベタベタしないのは男気に拘ってるからだと理解してるし、電気を消したら途端に甘いモードになるのも知ってるし、それなりには愛されてると思ってる。きっと私がもっと近づけば、あらゆる方向に二人の関係は変わるのだろう。
なのに安心できない。
いつもどこかで、私の心は緊張してる。
何故だろう?
小さい頃、父と眠りたくて、よく父のベッドに潜り込んだ。
あの時も緊張して上手く眠れなかった。
父の匂いが好きだった。
私が小さい頃に起業したばかりの父。何もかも自分で仕事を背負って現場にも出ていたから、機械いじりの油の匂いが手に沁み込んで、それが私にとっては働く父の誇りに感じてた。
その手で何をされてきたのか、私は思い出したくない。
シマリス君の腕枕をそっと外そうとしたら、今度は頭ごと抱きかかえられた。
寝息が聞こえるから眠ってるんだろう。彼は彼で、いまこの瞬間は私を離したくないのだ。お互いに痛々しい無意識の傷。きっとシマリス君は無自覚。永遠に知らないほうが良いのだろう。
こんなこと、気付いてしまって一生追わなくてはならなくなると、本当に厄介だわ。
そっと寝返りを打ったふりをして、シマリス君の背中を抱いた。
大きくて綺麗で、少し冷たい。
キンキンに冷えてる室内で、私達は身を寄せ合ってる。
シマリス君が少し私に体重を預けてきたから、私はそのままぎゅっとその背中ごと抱きしめて眠った。
父のようで、子供のような、今は恋人。
私が恐れていたのは本当は歳の差ではなく、再び父を失う恐怖だ。
いや、現実には父は今も健在なんだけど、私が惚れた父の人格は、ある日新しい愛人に全て奪われてしまった。その女性が現れて父は変わったし、私や母の入り込む隙は微塵もなくなった。
その愛人は、今は私の義母になった。
とても良い人だ。粋な女だと思う。
私は義母の店で水商売をイチから仕込まれたし、実母が他界した時は、誰よりも私達の事を心配してくれた。
口先だけでなく行動で示す人、チャレンジ精神があって人脈があって、綺麗とは言えないけど愛嬌があって可愛い人。
父曰く、その人が『最も俺の母親に似ている』んだそう。
父もまた、自分の母親を求めて彷徨っていた。
父は愛人という唯一無二の人と出会えて、幸せだろうと思う。
しかしシマリス君にとっては、私は今だけの恋人。
私にとってのシマリス君は、様々に複雑な役割を重ねてる。
自分だけが特別で、相手にとっては替えが効く存在。
卑下しているつもりはない、ただそれが今の現実だと思うし、だからって頑張って私も複雑な役割を持とうとも思えない。特別になりたいとも思えない…というところに、私の逃げ場がある気がする。
私は夫と出会った時、自分が『娘として』の再生を、夫との間で体験したと思う。
それはそれは壮絶で大変な作業だったけれど、夫も根気よく粘り強く付き合ってくれたし、実際に父と対面して夫と父が似ていることもよく理解してくれた。
それで私は自分を立て直すことが出来たし、夫も自分の中に在る家族との関係性を見つめなおすことが出来た。
だけどそれは血を吐くような思いで、泥をすすって飲むような辛さで、満身創痍でなんとか絶え絶え乗り越えた。親友はそんな私を何度も止めたけど、私には夫しか、今しか、過去の自分を超えるチャンスは訪れないと分かってた。
夫に殴られて、部屋の隅まで飛んで行ってスカートが破れたり、私が夫に噛みついて酷いケガをさせたり、裸で勇んで家を出たのに、階段から落ちて同じマンションの人に助けられたこともある。
本当にやり尽くしたと思ってた。これはブログには書ききれないし、半分位は思い出せない。それほど多分、壮絶だったし若かった。
今、私がシマリス君との間で再現しているのは、子供の頃の私ではあるけれど、それは父子の関係のほうではなくて、父を``異性として‘‘愛していた私なのだろう。
だからつれなくされると痛い。
当時の傷が痛くて疼く。
このまま進みたい気持ちもあるけど、もう逃げだしたい気持ちのほうが大きい。
もう二度と会わなければ、私は自分を傷つけることなく暮らしていけるのに。
父には母も愛人達も、今までそういえば忘れてたけどブラコンの妹(独身)もいた。
私は父の妹、私にとっては叔母とは仲が良くて、よく二人で父の魅力を語り合った。それは本当に恋する少女二人だった。
だから血の繋がりが恋愛を妨げるとは、小さなころから微塵も感じていなかった。
翌朝は早くに一度目が覚めて抱き合い、また微睡んでいるうちに、部屋がノックされた。
慌てて下着を身に着けてドアを開ける。朝食の時間だった。
一番遅い時間にしてもらったのに、また寝坊…これもなんだかもう慣れたけど。
ゆっくりと朝食を取り、その後に朝風呂に入り、身支度を済ませてチェックアウト。
帰りは海沿いをドライブしながら、前回のデートで仕立てたシャツを取りに行こうと言ってたんだけど、車に乗ったらすぐ仕事の電話。やや喧嘩腰で喋ってる…
やっぱり今、ピリピリしてるんだろうなぁ。
海は綺麗だった。
ただ車の外を眺めて、同じ空気を吸ってる。
シャツを引き取って、少し他の買い物をして、家の少し手前まで送ってもらってランチを一緒にした。
もう今日で終わってもいい。この人と出会えて、自分の傷に触れることが出来て良かったと、そう思う。
だけど自分から終わりの幕を引けないのもまた女心だから、つい帰り際
「じゃあ、また次会うまでやね」
と、そっと手を握られて
「そうだね、次また会えるまで」
と手を握り返してしまう。
いっそ殺してくれたらいいのに。
・・・
なんだかもっと色々頭の中では思考が繰り広げられてるんだけど、今表現できる精一杯。全部書いたら私の自伝になっちゃうんじゃないかと思うほど、色んなことを考えてる。
これからどうするかは全然決めてない。
ただ少し、今は恋を広げるのは休もうと思う。私らしくないけど。
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恋愛少し小休止期間、タロットでも勉強しようかな~と思ってる。
今更タロット??って気もするんだけど、数秘との関連など調べてたら面白そうかなと思って。自分でタロット引けるくらいになりたいな。
この本お勧めされてたので、自分アフィリエイト用。
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わたしの狩り場♡