シマリス君とデート。
約束していた日に仕事が入ったらしく、リスケ要請にて私のスケジュールを送ったら、最初の約束より1日前倒しになった。これって早く私に会いたいのかなと、ちょっと自惚れてしまうヤツ(笑)
ただし、午前中予定があるとかで午後の待ち合わせ。いつもは車で1時間以上かけてお迎えに来てくれるんだけど、途中まで私が電車で出ることにした。かなり無理矢理に。
この日は誕プレに私が贈った、シャツのオーダー券を使うため、シャツの採寸に一緒に行くって約束。近くに支店もあるんだけど、シマリス君が『どうせなら本店のある海の方まで行こう』って言うのでドライブデート。
私はシマリス君に会う時、なぜかいつも『今日で最後』な気がしてる。
彼の本心が見えず、他にも複数いる疑惑が晴れず、どうしても安心できなかった。
本当は真実なんかどうでもいいのに、わざと嫌いになろうとしているというか。いつも店仕舞いの準備をしてるような感覚。
思えば最初からそうだった。なのになんでこんなことになってるんだろう。
シマリス君が私を選ぶ理由はわかってきたけど、じゃあ私は?
複数恋愛してるからってどれも適当な気持ちではなく、私にとっては大事な男達。
だけどシマリス君だけは、大事というより不安のほうが遥かに大きい。
4月に出会って、今日で6回目のデート、そのうち2回は泊まり。
過ごした時間から鑑みても、そろそろ私の気持ちも落ち着いても良い安定期なのに、何故かこの日も、これで最後になる気がしてた。
用事があるって言ってたから仕事なのかと思ってたら、私服で現れたシマリス君。
その姿を見て、私の頭の中は瞬時に『もしかして朝帰り?』と思ってしまった。
前日は日曜日。私と会うのはいつも平日。
日曜日に都合の良い女とどこかに行って、帰って来てからのデートだから、今日は午後待ち合わせなのかしら。それとも彼の妻と一緒だったのかも。
例えそうであったとしても、普段の私なら気にしていない。自分の男が私と会っていない時間を、どう過ごしていようが関係ない。それは私も同じこと。
この瞬間、私のために時間を作ってくれることだけを大事にしてる、それなのに。
シマリス君だけは、いつも通りの私でいられない。自分の鏡のような気がしてならない。どの瞬間も本気で遊びの人。息を吐くように嘘をつく人。
だったらこっちも同じことなはずなのに。
何故こんなに心がざわつくんだろう。
コンビニで飲み物など買って、車に乗り込む。
シマリス君のほうはいつも一緒にいるようなナチュラルさで普通に喋ってる。
久しぶり、でもなく、元気だった?でもなく、会いたかった、でもない。
もちろん午前中、どこに誰と行ってたのかも言わないし、私も尋ねない。
私は自分でもすごいと思うけど、デートの最中に男の名前も呼び間違えないし、その男との最後のデートも、しっかり記憶を再生できる。完璧に目の前の男のゾーンに入っていける。スケジュール調整も完璧だから、当日デートがブッキングするようなこともない。
だから自分の鏡のようなシマリス君にもそうしてほしいと密かに思う。わからなければ上手く騙されて、それで私は幸せなのに。何故勘づくようなことばかりするの?
そんなことを悶々と考えて、急に可笑しくなってきた。
全部私の妄想だよね。シマリス君の他の女たちも、昨日からどこで誰と過ごしてたのかも、私の勝手なストーリー。私、いつからこんなヤキモチ妬きになったんだろう?
せっかく会えて、こうしてドライブしていて、楽し気に話しかけられてるのに。
なんか自分がどうしようもない女に思えて、やっとモヤモヤモードからシフトチェンジ。
でも何故シマリス君だけが、こんなに私をモヤモヤさせるのか。
わかっているようでわからないような。
車中では、シマリス君に頻繁に仕事の電話がかかってきて、イヤホンで話してる。
その間、窓を見てる私の手を、そっと握ってくれる。心が一人にならないように気を遣ってくれてるんだね。この時間はとても好き、甘くて切なくてキュンとなる。
目的のお店に到着。
シマリス君が、誕プレにあげたオーダー券をスタッフに渡して、席に案内される。
Photo by Jozsef Hocza on Unsplash
まずは生地選び。
「俺、センス悪いから選んで」
意外な一言。なんか可愛いな。
いつもは何でも自分で決めるから、オーダーシャツもシマリス君が勝手に決めると思ってたけど嬉しいな。一緒に生地のサンプルを見る。
麻入りの生地も季節的には素敵だけど、お手入れの楽なノーアイロンの生地もある。
「俺、自分で洗濯するから楽なやつがええわ。白いのはたくさんあるから別の色がいい」
ってことで、イージーケアの生地から選んでいく。えーお洗濯するんだ。
ストライプは?チェックは?黒と青ならどっちがいい?と、さり気なく好みを聞き出しながら、選んだ生地の上にネクタイを置いてコーディネートして見せたら
「いいね、ネクタイにも合うね」
と嬉しそう。
オーダー券は二枚分あるので二つ選んで、今度は採寸。
シマリス君は今も武道をしてるから、首が太くて肩幅もけっこうあるんだけど、全体的には骨が細いからスッと着痩せして見える。この首と肩幅なら、きっとオーダーシャツのほうがシルエットが綺麗に出て素敵だろうなって、最初に会った時に思ってた。
あの時、最初に会った瞬間、若くてキラキラしてるシマリス君に、私はちょっと引き気味だった。
その後も男らしさに拘り、あらゆる話に持論を展開して、よくわかんないLINEを送ってくるシマリス君は謎でしかなかった。ちょっと前のことなのにすごく懐かしい。
採寸が終わって、襟やカフスや刺繍のオーダーをして、3週間後に出来上がり。
来る途中、確か出来上がったシャツは宅配便でも送ってもらえるよと言ったけど
「ええよ、シャツ取りにまた一緒に来よう」
と言うから少し驚いた。
この人の中では、私との付き合いはこれからも続くことになってるんだ。
何故私は、会うたびにこの関係が終わる予想ばかりするんだろうか。
「良い物を選んでくれて、ホンマありがとう。あの店も良い感じやったね」
「うん、本店には初めて来たけどよかったね。シャツできるのすごく楽しみ。シマリス君の身体なら、絶対オーダーが良いと前から思ってたんだ」
「え、そんなこと思ってたん?ありがとう」
ありがとう、のイントネーションが、関西鈍りで優しい響き。
この声が好きだなと思う。大きな声で笑ってる時に特にそう思う。
「なぁ、今日な、晩御飯早めでもいい?俺、朝から何も食べてへん」
また、当たり前に夕飯一緒に食べることになってる(笑)
なんだかホッとした。
今日はシャツのオーダーに行くって約束しかしてないから、終わったら送り届けられるのかと思ってた。もう全くシマリス君の計画がわからないし、私の予定を尋ねないから、ただ彼のプランに沿ってついて行く。
街を探索しながら歩く。
私はシマリス君と手を繋いで歩かない。シマリス君も手を繋いでは来ない。
12歳も年上の私から手を繋ぐのは気が引けるし、この大きな背中の少し後ろを歩いてるのがしっくりくる気がする。
暫く歩いて海鮮のお店に入った。普段は相当な人気店でかなりの行列が出来る有名店らしい。
コロナだし、食事にしては半端な時間で、すんなりと席に座れた。
「俺に任せる?」
食事はいつもシマリス君が選ぶ。
私はメニューすら見ない。何が好きとか嫌いとかも聞かれたことが無い。
まもなくシラスとお刺身が乗った海鮮丼が運ばれた。
私のはご飯が少なめ、シマリス君のは大盛。イクラが別皿にあって、かなり大盛。
早めの夕食なのに美味しくてペロリ。
またブラブラと歩いて、シマリス君はまだお腹が満たされてないのか食べ歩き。
味見させてくれたり、あちこちお店を覗いたりして楽しい。
帰りは送るからと言われてたので、このまま送り届けられると思ってたけど、車に乗ったら
「門限何時?」
って聞かれたので、思わず吹いてしまった。
この歳で門限も何も…そもそも門限がある主婦が、泊りで温泉2回も行かないよね。
もしもこのまま送り届けられたら、どっかで飲んで帰ろうって思ってたし。
「面白いね、門限って。何時でも大丈夫だよ」
「じゃあ、二人きりになれるとこに行こか」
予め調べてたみたいで、ナビをセットしてまたドライブ。
車の中で再び手を繋がれる。
時々仕事の電話がかかってきて、その度イヤホンで話す姿をみてた。
男が仕事をしてる姿をみてるのは悪くない。会話の中でかなり賢いのもわかる。
私の自宅からそう遠くはないけど、一目につかず目立たないホテルに着いた。
こんなとこにこんなホテルあったっけ?ホテルというかモーテル?
アメリカの映画に出てくるような可愛いポップな建物の横に、車を一台ずつ停めるようになってる。勝負下着にしておいてよかった。ブラトップじゃ恥ずかしすぎる(笑)
「俺、じゅりんのこと抱きたかったんや」
その後、肌を合わせてる時だけ言える本音を、初めてお互いに交わした。
私は色々引き受けるのが嫌だった。シマリス君の事情はわかったし、それで白けた気もしてた。でも本当はそこを引き受けたら私に逃げ場が無いから嫌だった。引き受ける気持ちだからこそ予期不安を感じてたのかも。
— じゅりん (@3venIS1RCaT3IQu) 2020年8月3日
つまりは私も、シマリス君に惚れてるってことかぁ。認めることは色々辛い🤣
(続く)
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