これは、昔わたくしがお水の世界にいたころのお話で、今とは世界もずいぶん違うのかもしれません。バブル前→バブル崩壊→不景気時代をずっとお水してました。そんな遠い記憶の物語…(だからクレームとか受け付けません、私の経験と主観です)
実家を出る前にお金を貯めるため、キャバクラに毛が生えたような三流のクラブにも在籍していたことがある。そこは帰りに家まで送ってくれるシステムがあったのと、待機室では好きな事が出来る(ゲームしたり仮眠したり食事したり)のと、売掛が全くない指名制なのと、衣装の貸し出しがあったので、時給は安くて労働時間が長かったけれど居心地は良かった。
出費も少なくてありがたかった。ただちょっとガラが悪い店だった。
その店のナンバーワンは美鈴という源氏名の、当時自称28歳の普通の女性。
特に綺麗というわけではないがブスではない。店の中では若くもない。何で美鈴ちゃんがナンバーワンなのかとても謎だった。
その店は女の子もガラが悪くて、人の客を寝取ったり、同伴や指名を奪ったりして(高級クラブと違って永久指名ではない)しょっちゅう女同士で取っ組み合いの喧嘩をしてた。ガラの悪い子達はだいたい子供を一人で育てていて『旦那は別荘にいる』と言うんだけど『別荘=刑務所』ってわかるまで、本当に仕事で単身赴任かなにかだと思ってた。
その界隈では『別荘に夫が居る』と言うのが普通の世界?ってかそれが自慢の世界。
すごくガラが悪くて下品なお店。もちろん客層もあまり良くない。その意味では美鈴ちゃんは凛として透明感があり、擦れた他の子と違って、清純派として人気が出たのかもしれない。
私はお店の子達と距離を置いていた。そこが美鈴ちゃんに気に入られて、自分が指名じゃない時は、彼女のヘルプに呼ばれることが多かった。
売れっ子ナンバーワンとなるといくつもの席を掛け持ちして、クルクルと忙しく動き回る。美鈴ちゃんが席に戻れば私は別の席で、美鈴ちゃん不在を嘆く客をいつも慰める係。それで私もお連れさんの指名貰ったり同伴して貰ったり、美鈴ちゃんのおこぼれにあずかることが出来た。
このナンバーワンの仲良しヘルプの役割は、なかなか割の良いポジションだったし、水商売の裏側を知る良いチャンスだった。
ある日、3テーブル指名の掛け持ちで動き回る美鈴ちゃんのヘルプに着いて、私は気付いてしまった…
3人のお客さんが3人とも、美鈴ちゃんと同じ指輪を左薬指に着けている!
席は離れてるし店内は薄暗いから、誰もそのことに気付いてないのか?他のヘルプホステスも黒服も、誰も突っ込まない様子。
チラチラと何度か確認して、やはりお揃いと確信。
どうしても気になるので、客にそっと尋ねてみる…
「その指輪、すごく可愛い!結婚指輪?あれ独身でしたよね??」
「うん、実はこれ、美鈴ちゃんからプレゼントされたんだよね。気付いた?ペアリング」
「えー美鈴ちゃんから?すごーい。それってエンゲージってこと?」
「いずれは・・ね。彼女人気者でしょ?今日だって俺の席に10分しか座れない。だから俺に心配しないでって、あなたの彼女なんだからって。それでお揃いの指輪しようって言われて」
アナタノカノジョナンダカラ…
別の席の客にも聞いてみた。
「良く気付いたよね、そうなんだよね。これ実は、結婚する約束にって美鈴がくれたんだよ。この前俺、誕生日だったからさ、その時に」
「お誕生日もここでお祝いしてましたよね。えーあの時も私、ご一緒してたのに、いつの間に指輪プレゼントされてたの?」
「聞きたい?ほんと聞きたい?ふふふ、いやーこっそりとね。あいつ、隣の席に座った時にそっと指輪を俺にはめてきたんだよ。俺ビックリしてさ。そうしたら『まだちょっと気が早いけど、いずれ結婚するんだから』って言われたんだよね」
イズレケッコンスルンダカラ…
ちなみにもう一名の客も
「あ、これ?美鈴がどうしてもペアが良いって言って、あいつが選んできたんだよ。俺がお金出すって言ったんだけど。ほら、あいつ意地っ張りじゃん?だからさ…美鈴が自分からのプレゼントにしたいって言ってきかなくて。でもそれじゃ男として俺が恥ずかしいじゃん。そしたらさ、どうせお財布一緒になるからって…実はさ、来年結婚するんだ俺たち。内緒だよ」
ドウセオサイフイッショニナルカラ…
なんと3名とも、美鈴ちゃんから結婚の約束付きで指輪をプレゼントされていた。
衝撃の事実!当時の私は動揺を隠せなかった、かなり顔が引きつって笑ってたハズ(黒服が心配して一度退席させたほどだった。その後トイレで吐いた、若かった)
みんなそれなりにイケメン独身30代。しかもこの時まだ、美鈴ちゃんは誰とも寝ていない。どの客も、いつもそのことを愚痴っていたから間違えない。
それに美鈴ちゃんの彼氏は月の半分以上一緒に同伴してくる別の人で、あまりイケメンでないけど優しそうな人だった。それはお店のスタッフ全員知ってたんだけど。
彼女はそうゆうビジネススタイルなんだろうとは思ってた。身体を許さずに男を引っ張れるところまで引っ張る、そして通えなくなったら捨てる。それまで遠慮なくお金を使わせて、なんならアイ〇ル通わせるのも知ってた。
でもまさか結婚とか指輪とか…そこまで??
客を騙してるってこと?しかも、彼女の客はこの3人以外にもたくさんいる訳で。
ちょっとビックリなんだけど(当時の私には信じられない出来事)
最後のテーブルの男が
「美鈴ってさ、すごく古風で『結婚するまで身体の関係はダメ』とか言うんだよ。可愛いだろ。でもさぁ俺だって生身の男だよ?それはさ、ちょっと耐えられないんだよね。だから今日こそ店が終わったら、美鈴の部屋に行くつもりなんだよ。だからさ、じゅりんちゃんさ、ちょっと協力してよ」
と言い出す。
いつも、帰りの清算が終わったらお店の前で見送られて、近くで待っててって言われるらしい。しかし待てど暮らせど彼女は来ない。
だから今日はお店を出るときに、彼女にも帰り支度させて一緒に帰りたいと。
もちろんお客と一緒に退店するのは、アフターする子は許されてるんだけど、何故か彼女は『他のお客に示しがつかないから』という理由で、いつも一人で店から出されるそうだ。そしてそのままバックレる。
ってか、よくそんな女を信用して結婚するとか言ってるよね?男ってそんなに単純なのか??ってか美鈴ちゃん、これはホステスの営業ではなく、もしかしたら結婚詐欺なんじゃないのかしら…
更衣室で美鈴ちゃんに問いただした。
「じゅりんちゃん、何言ってるの?結婚詐欺なら何百万もお客さんからお金を引き出すわけでしょ?私はお店に飲みに来てもらったり、たまに同伴してもらう程度だよ。そりゃたまにはプレゼントは貰うけど、それはおねだりしてないし。結婚だってするかもしれないって仮定の話なんだよ。結納済ませたわけじゃないし、恋愛は自由でしょ」
「それはそうだけど‥どうするの?相手は生身の男なんだよ?お預けばかりで頭おかしくなるかもしれないよ?帰りにストーカーされたらどうするの」
「大丈夫、アタシだけ店長の車で、そっと裏から送ってもらうから。うちのお店、いざとなったらヤ〇ザさんも出てきて縁切ってくれるんだよ。ほら、先月から来なくなったあの客、あれもかなりしつこくなってきたから切ってもらったんだぁ♪」
そうだったのか。
いつも美鈴ちゃんだけ送りの車には乗っていないから、彼女一人でタクシーか何かで帰ってるもんだと思ってたけど…やっぱりナンバーワンともなるとVIP待遇。しかも散々引っ張って、後始末はヤ〇ザって💦あんたどんな商売してるんだ?
男の純愛弄んで、指輪まで渡して、そうして勝ち取った信頼で客に貢がせる。
なんかすごいオンナだよね。
ちなみに美鈴ちゃんは、お店が借りた寮(と言う名ばかりのマンション、各所に点々と借り上げている)に定期的に移り住んでるらしい。そりゃ一か所に長く住んでたら、誰かに調べられて刺されそう。
売春だって、しないでお金巻きあげる方が、致してお金巻きあげるより罪深いもんね。
でも私なら、どうせならもっとまともな嘘つくなぁ~ってずーっと思ってて、結局こんなホステスになったけどね↓
身体張らなくても客を騙せばいいんだと理解したのは、美鈴ちゃんのお蔭。
でもそれまで、スナックで客とチークダンスを踊るか、隣に座ってしなだれかかる程度の営業しか知らなかった小娘の私には、本当に衝撃的だった、この三流クラブ。
で、この店は半年位でお金を貯めて辞めたので、その後の美鈴ちゃんの事は知らない。
だけど対立していたナンバー2の沙織ってオンナが、その数年後に客に殺された。
客の車のトランクに入れられて、生きたまま放火された。当時はセンセーショナルだったけど、もうずいぶん前の話。
結局、沙織も色恋沙汰とお金の貸し借りで揉めてたみたい。
まぁ、事件として表に出るだけよかったのかもしれないね。
美鈴ちゃんが、その後無事かどうかは知らないんだけど。
沙織のことはまた今度。
怖い世界よ。
・・・・・
家でウェブジムするようになったし、よく歩くから、これ買おうかなーとか思ってるんだけど、ほんとに履いたらカロリー消費アップなんだろうか??
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