人妻の気紛れで自堕落な生活

人妻の夜遊びとか不倫とか時々仕事とか

終わってもいいのかもしれない

ペットは毎朝LINEをくれる。

私は毎日の連絡を求める方ではないのだけど、彼が

 

「もしも俺の連絡が無くなったら、俺が死んだと思ってくれ」

 

と言って、付き合い始めの頃から毎朝LINEしてくる。

不倫という世間的に不安定な繋がりの中で、彼なりに誠意を見せてくれてるんだと思う。

 

この男は、住んでるマンションも職場も、包み隠さず最初から告げてきた。

まっすぐに「全力で愛してる」と言ってきた。

それが儚い瞬間だと知っていても、溺れたくなったのは、私が女だからなんだろう。

 

ペットは毎月のシフト勤務。昨年異動してから激務過ぎて、いつ仕事で、いつ休みなのかもよくわからないのだけど、お休みの日でもだいたいいつもより1時間遅れにはLINEが来る。そんな日々が2年。

昨日初めてLINEが大幅に遅れて、午後遅くに届いた。

 

「やっと起きた」

 

その一言だけ。

その瞬間、生きてて良かったわ、と思った。

そして『もしお別れするなら、生き別れがいいな』とも思っていた。

 

いつもの時間に届かないLINEを、確かに私は気にしていたんだけど、それと同時に『ああ、もうペットとは終わってもいいのかもしれない』とも感じていた。それもとても清々しく。

なんだろう、あの感覚。

 

普通なら『彼の身になにかあったのかもしれない』とか『なんで私にLINEくれないんだろう』とか『もしかして他にも女がいる?』『妻にバレた?』『スマホの故障?』など、あれこれ思考を巡らすと思うんだけど。

 

このまま何の連絡もなくて、夜に私からLINEをして、それもずっと未読のままなら、きっと私達は終わるんだろうとボンヤリと思ってた。

 

その時わたしは、自分が男との恋愛に対して、最初から諦めのような悟りのような、普通の恋愛観とは違う見方をしてることに、あらためて気づいたというか。

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ペットのLINEを待ってる間に、彼氏からもLINEが届く。

 

週末の出来事なんかをお互い報告して、彼氏の週末行事の最中に、私の事を思い出したようなセリフにキュンとする。

 

正確には『じゅりんが前に言ってたあのことだけど…という理由らしいよ。そう(週末のある場所で)教えてもらったよ』みたいな会話。

週末のその瞬間、誰でもなく私の事を思い出してたんだろうと想像するだけで、何故かすごく幸せな気持ちが染みる。

 

そして気付いてしまった。

私は男達と『今この瞬間』だけの恋愛を楽しんでいるとずっと思ってるけど、それは確かに真実なんだけど、それとは別の気持ちでこの先、男達が私との縁が無くなった後に、思い出に残る女になりたがっているのかもしれない。

 

それは何故なんだろう。

どこから来る感情なんだろう。

 

独占欲?支配欲?なんかちょっと違う。

恋とか愛とかの問題でもない。

執着?そうでもないと思うけど。

 

人生の後半に差し掛かり、寿命も女としても、残りの時間が限られてることを身を持って理解してるから?それとも、もしも命が終わったら、結局人の記憶の中でしか、生きられないということを肌で感じてるのか…?

 

ペットとは、2年かけて充分に思い出を作ってきた。

私の事は、彼は絶対に生涯忘れられないだろう。

もちろん私も忘れない。逢うたび記憶に刻んできた彼の仕草、匂い、話し方、まなざし、その全て。

 

終わっても良いのかもしれないと思うけれど、終わらせたいわけじゃない。

だけどもしも、今この瞬間に男達と終わってしまっても、悲しいけれど私は受け入れ、彼等の記憶の中で生きていく。

きっとそれは時間と共に美化され、綺麗な記憶になる。

だからこそ私は、イヤな女を演じない。絶対に聞き分けの良い大人で、美しく在りたい。

 

変なプライドなのかもね。私の美学。

 

あ、ペットとはまだ別れないとは思う。

別れてもいいくらいの、十分な準備はできたと思うけど、だからってまだ手放さないつもり。

・・・ 

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