ケーキセットひとつ自由に頼めない妾。
それほどお金に困窮してるのかわからないけど、とにかくとても不自由に見える。
私には耐えられない生活の女。旦那の男の所有物。
4人でゴルフをして、その日は同じホテルに宿泊。
妾の彼女は腰痛が酷くなってしまい、食事の後に部屋で休むことに。
男と私達夫婦でバーで飲みなおす。
昼間のケーキのことを気にしている夫が、男にさり気なく聞いた。
「彼女って、あなたにすごく気を遣うよね、例えばさっきのケーキセットも、勝手に頼まないであなたがくるのを待ってるなんて、健気というか…」
「だって金払うのは俺だもん、俺の許可が無いとまずいと思ったんじゃないの?」
男はドヤ顔で言う。
「あいつの部屋代を出してるのも俺だし、車を買ってやったのも俺。だから俺の言うこと聞かないとダメなんだよ、あいつは」
それって、まるでお金で買われた奴隷のような…
私には耐えられない妾の生き方。なんだか可哀想で泣けてきた。
お開きになって、夫と二人きりになったら、夫が静かに私に言った。
「お金だけじゃないよ、彼女もそうゆう生き方を望んでいるんだよ。彼女も完全な孤独より奴隷のほうがマシだと思ってるんだ、きっと」
「あたしには考えられないけれど…そうなのかな」
「じゅりんには考えられないだろうけど、多くの人がそうなんだよ。男も女も」
あなたもそうなの?
言いかけたけどやめた。
私達夫婦は、お互い自由。
将来の介護要員として夫は私をキープし、私は妻の座に甘えて暮らしてる。
でも私達のギブ&テイクは悪くない。
妾と男ほど、理不尽には見えないはずだ。
「あの旦那、DVもしてるよ。彼女の腕に痣があっただろう?」
「DVも?それでも彼女は別れないって…」
「そうゆうカップルもいるんだよ。前に、彼女に子供を二度堕ろさせたって自慢気に言ってたことがあるし」
「それでも彼女が一緒にいたい人なんだね?私にはよく分からないけど…」
「男としては最低だよな。じゅりん、キミは自由に生きて。お互い人生を楽しもうよ。あのカップルとの付き合いは、これから控えよう」
そういえば、妾の彼女に女同士の飲み会や旅行に誘っても、スポンサーがいないといけないと断られたことがある。あれは冗談だと思ってたけど、本当なのかもしれない。
籠の中の鳥。
それでも籠があることが幸せだと感じて生きてくのも人それぞれ。
私は籠から出て、その瞬間死んでしまっても、それでも外に出たがるのかもしれない。
だけど、無事に外から戻れば、また籠に入って身体を休めることもしたいのだろう。酷い女だな、知ってるけど。
・・・
自分のクリスマスプレゼントに枕を新調(笑)
寝心地良いかな、どうかな。