東京ラブストーリー、柴門ふみさん原作の、漫画のほうを知ってる人ならわかると思うけど、主人公の赤名リカって、めちゃくちゃな性格だよね(鈴木保奈美ちゃん主演のドラマの方は、情熱的で可愛いキャラで収まってるけど)リカをADHDと疑ってる専門家(?)も多かったみたい。ADHDってある意味天才だと思っているのだけど、本当のところはよくわからない。
私は20代の頃、よく赤名リカに性格や恋愛スタイルが似ていると言われていた。わたしはリカみたいに帰国子女ではないし、それほど奔放な性格でもないと思うけれど、恋愛に過集中してしまうところや、好きな男が出来るとあっさりそれまでの男を捨てるところ、感情のままに生きるのは、確かに言われれば過去の自分と近い気もする。
その場の一瞬だけに集中して生きてるのは、今もあまり変わらない。自分の生きている温度や熱量が人より高くて、持て余し気味な感じはリカに共感する部分もある。
ということは、私も相当に周りの男達を振り回してきたのだろうか。
夫と出会ったとき、夫は妻帯者だった。
私は夫に自分との結婚をせがんだことは無いし、夫も「離婚はしない」とずっと言っていた。でもある日突然夫は家を出て、私と一緒に暮らし始め、そして離婚して私と再婚した。それはずっと夫の気持ちがそんな風に自然に流れて決断したのだろうと思っていた。でも最近思うけれど、もしかすると私は、そうでもしないと(結婚という形を取らないと)いつどんな風に夫を捨てて、新しい道に飛び込むかわからない存在だったのかもしれない。
自分でも、あの時結婚していなければ、私はその先どうなっていたのかわからないと思う。結婚という足枷は案外重く、その後20年近く従順な妻として、私は夫に傅いて暮らした。
愛し愛されたと思っていた。沢山の人を傷つけ、財産を奪われてまで、夫は私を選んでくれたと思ってた。しかし愛は永遠ではない。いや、永遠になるからこそ代償を払うというべきか。
家族としての安定を取れば、恋という要素は薄まる。普通はそれを幸せと呼ぶのだろう。しかし私は、心にいつもドロドロの女を育ててた。そのドロドロの女は、とても強欲で自分勝手でエロティック。上手に飼いならしていたつもりだけど、飼い主が手を離した瞬間、自由になってしまった。
赤名リカは原作では、妊娠して人格も落ち着くように見えた。女として子を宿ることは、それほどのパワーがあるのかななど思いながら読んだ記憶がある。私は子供を持たないので、ずっと落ち着かないのかもしれない。自分の中のドロドロの女が、落ち着くことを許さない。
人のものを奪えば、いずれ自分も奪われる。結婚したころは、よくそう言われてお叱りを受けた。
でも私は奪っていない、夫が自分の生き方を決めただけ。今もずっとそう思ってる。
そしていつか夫が私とは別の人生を選んでも、それは誰かに奪われたものではないし、その時は喜んで手放そうと思う。財産分与だけはしっかり貰うけど。